外食業の特定技能とは
外食業を経営している人にとって、人手不足は課題の1つではないでしょうか。外食業の特定技能を取得している外国人を雇えば、人手不足が解消できお店の売上も伸びる可能性があります。今回は外食業を経営している人に、外食業の特定技能を取得した外国人の採用方法をわかり易く紹介します。
在留資格の1つで人手不足の解消が目的
特定技能の外食業とは、2019年に新設された在留資格の1つで、人手不足を解消する目的で外食業全般に従事する人を受け入れるために制定されました。
外食業を営み、人手不足に悩まれている人にとって、外食業の特定技能をもった外国人を雇うことは解決策の1つになります。
対象となる業種と業務内容
特定技能の外食業を取得したからといって、全ての外食業に従事できるわけではありません。
特定技能の外食業で従事できる職種とできない職種をご紹介します。
特定技能外食業で従事できる業種
- 食堂
- レストラン
- 料理店
- 喫茶店
- 持ち帰り専門店
- 弁当屋
- 宅配専門店
- ケータリングサービス店
従事できない業種
- ホスト
- キャバクラ
- インターネットカフェ
- その他風俗営業など
可能な業務区分
外食業の特定技能を持った外国人には、外食業に関わるさまざまな業務ができ、外食業の範囲内でれば他の就労ビザのような業務制限がほとんどありません。
たとえば飲食物の調理、接客、店舗管理なども任せられるため、仕事を覚えれば店舗のリーダー的な役割も任せられるでしょう。
また特定技能をもった外国人を受け入れらえる飲食店は大手チェーン店や個人経営問わず、日本標準産業分類のうち、76 飲食店、77 持ち帰り配達飲食サービス業に該当していれば受け入れ可能です。
参考:法務省・農林水産省 特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領
外食業の特定技能を雇用する4つのメリット
1.外国人労働者を雇用でき人手不足を解消できる
外食業の特定技能をもった外国人労働者を雇用すれば、人手不足が解消できるのが大きなメリットです。
人手不足が解消できれば、お店にもっとお客様を呼べ、売上も伸ばしやすくなります。
2.フルタイムで労働が可能で、短期間での離職が少ない
特定技能の外国人はフルタイムでの雇用が義務付けられているため、細かいスケジュール調整が必要ありません。
また入社後すぐに離職してしまうなどのリスクも少ないです。
転職は可能ですが、技能資格をもつ分野での転職に限られたり、技能評価試験に合格したりして多くの壁を乗り越えて日本に来ているため、モチベーションも高い傾向にあります。
3.職場が国際的になり活性化する
外国人を採用すれば、働く姿勢や違った考え方、価値観を職場にもたらすため、従業員も新鮮な気持ちになり仕事への意識も向上する可能性があります。
仕事への意識が高まれば、自ら考えるようになり新しいアイデアや工夫が生まれ、店舗自体が活性化していきます。
4.すぐに仕事を任せられる
活躍できる状態の人材と認められた外国人に特定技能の就労許可が出るため、即戦力として雇用できます。
また日本語も基本的な内容は理解ができ、日常的な範囲であれば問題もないため、日本語のコミュニケーションも可能になるでしょう。
もしN3以上(日常会話レベル)であっても、外国人観光客の接客が可能となるため、積極的な外国人を顧客としてお店に招待できます。
外食業の特定技能を雇用するデメリット
1.受け入れ体制を整える必要がある
外食業で特定技能の外国人を雇用する際は、支援体制を整える必要があります。具体的には以下の内容があります。
- 食品産業特定技能競技会へ加入する
- ビジョンを明確にする
- 社内ルールを作成する
- 適切な雇用契約書を作成する
- 企業自体が適切な活動をしている
その他にも必要な支援があり、自社で対応できない際は必要な支援を登録支援機関に委託するのも方法の1つです。
2.1号特定技能外国人支援計画を作成する必要がある
特定技能外食業を申請するには外国人本人が外食業特定技能1号技能測定試験を通過する必要があり、企業側は雇うために1号特定技能外国人支援計画の作成が義務付けられています。
1号特定技能外国人支援計画は企業が外国人に対して実施するサポートを計画したもので、問題なくスムーズに日常生活を送れるようにしなければいけません。
計画書はわかりやすい言語で作成し、外国人本人が見て理解したという署名が必要です。
支援計画に関しては弊社で書類作成を行なっておりますので、企業様が作成する必要なありません。
外食業の特定技能の雇用に関して
採用人数の上限と給料
外食業において、採用人数の上限はありません。必要な人数を計算し、採用後の準備や支援も含め計画的に採用しましょう。
給料は同職種に従事する日本人と同等以上にする必要があり、外国人に対する低賃金労働の問題を解決するため、外国人を低賃金での雇用は禁止されています。
別途登録支援機関に委託する委託料や在留資格申請にかかる費用も発生するため、事前に予算を計算して確保してください。
雇用期間と雇用形態
雇用期間は、最大5年まで雇用できます。
またアルバイトやパートタイム、派遣での雇用は認められず、フルタイムの直接雇用のみの採用となります。
原則労働日数は週5日以降かつ年間217日以上、週労働時間が30時間以上となります。
飲食業では土日や祝日など、お客様が増える日がある程度予測できるため、それらを加味した上でシフト作成すると良いでしょう。
特定技能外国人の雇用までの流れ
国内にいる外国人を採用する場合
国内にいる外国人を採用するには、外国人材との関係性がある人材紹介会社を利用して、外国人を紹介してもらう方法が一般的です。
または、すでにアルバイトで雇っている留学生に技能特定試験を合格してもらい、継続して雇用する方法もあります。
国外にいる外国人を採用する場合
国外にいる外国人を採用する際は、海外の送り出し機関と業務提携している人材紹介会社を利用し、採用する方法が一般的です。
紹介から採用まで一貫してサポートしている会社が多いですが、人材紹介会社によってサポート内容も異なるため、依頼する前にしっかり確認してください。
また自社で直接海外送り出し機関と接点をもち、採用する方法もあります。
初めのうちは人材紹介会社を利用し、慣れてきたら直接やり取りすればコストも抑えられるでしょう。
雇用までの流れ
海外にいる外国人を雇用する際の流れを紹介します。
外国人本人が試験に合格している必要があるためご注意ください。
1.特定技能雇用契約を締結
人材紹介会社から紹介された外国人とオンライン面談を実施し、採用する外国人を決め特定技能雇用契約を締結します。
2.1号特定技能外国人支援計画を作成
雇用した外国人が雇用後にスムーズに業務に従事し、日常生活を送れるように支援計画書を作成します。
作成した計画書は外国人本人が十分理解したという署名をもらう必要があるため、理解できる日本語での作成を意識してください。
3.事前ガイダンスの実施
オンライン会議で雇用前に事前ガイダンスを実施し、健康診断まで受診してもらってください。
4.在留資格の申請
管轄の出入国在留管理庁に在留資格認定証明書交付申請書を提出し、特定技能の外食業を申請します。
この時、健康診断の診断書も必要になります。
5.在留資格認定証明書を外国人に郵送
審査が通ると在留資格認定証明書が交付されるため、雇用する外国人に郵送します。
6.外国人がビザを申請
外国人が現地の日本大使館に在留資格認定証明書を提出し、ビザを申請し受け取ります。
7.来日し就労開始
就労する外国人が来日し、就労開始となります。
在留資格認定証明書の有効期限は3ヶ月ですのでご注意ください。
全てを自社でやる必要はなく、登録支援機関に委託できる業務もあるため、自社の予算や労力などを加味して計画してください。
特定技能 外食業 よくある質問
特定技能の外食業でよく聞かれる質問をまとめてみました。
特定技能の外食業でどんな作業ができますか?
外食業は特定技能制度で認められる業界の一つであり、「特定技能 外食業」の在留資格を持つことで、調理や接客に加えて、店舗管理、原材料の仕入れ、配達など、店舗運営に関するさまざまな業務に従事することができます。ただし、風営法に規定されている接待行為は禁じられています。
特定技能の外食業の職務内容は?
特定技能の外食業における職務内容は多岐にわたります。主な業務には、調理、接客、レジ操作、食材の仕込み、店舗の清掃・衛生管理が含まれます。また、食材の発注や在庫管理、簡単な店舗運営業務も担当することがあります。
特定技能試験は外食業で年に何回ありますか?
特定技能1号の技能測定試験における「外食業」分野では、外食業に関する知識や技能、業務に必要な日本語能力を確認します。この試験には国内試験と国外試験があり、それぞれの実施回数は異なります。国内試験は年に約3回開催され、北海道から沖縄まで各地で実施されています。
外食業の特定技能の難易度は?
外食業の特定技能の合格率は、2021年7月から2022年1月までの3回の実施で平均57%、特定技能外食業2号試験の第1回目では約39%でした。
外食業の特定技能の試験は学科と実技に分かれており、「衛生管理」「飲食物調理」「接客全般」の3科目で出題されます。合格点は満点の65%以上が必要です。