特定活動46号の概要や取得要件などを徹底解説!メリット・デメリットも併せて紹介

 

少子高齢化に伴う生産年齢人口(15~64歳)の減少により、近年、日本では外国人労働者の受け入れが急速に拡大しています。

そんな中、注目を集めているのが、2019年5月に公布されたばかりの特定活動46号という比較的新しい在留資格です。

こちらの在留資格が公布されたことにより、以前は認められていなかった、飲食店、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどへの外国人の方の就労が可能となりました。

特定活動46号とは?

特定活動46号の概要

特定活動46号とは2019年5月30日に新しく公布された在留資格のことを指します。

日本の大学を卒業した、日本語能力試験JLPTでN1またはビジネス日本語能力テストBJTで480点以上の高度な日本語能力を持つ外国人留学生の方が、日本で取得した知識や応用力のほか、留学生としての経験を通じて得た高い日本語能力を活用することを要件として、幅広いさまざまな業務に従事することが認められている在留資格です。

これまで、外国人留学生の方の就職先には、『技術・人文知識・国際業務』など、外国人ならではの知識や語学力、また、技術力を活かすような限られた業務への従事しか認められていませんでした。

そのため、企業側が外国人労働者を受け入れようとしても、業務内容の制限によっては就労許可が下りないといったケースも。

しかし、特定活動46号では所定の要件を満たしている場合、工場でのライン作業や接客を伴うサービス業務への就労が認められている点が大きな特徴の1つと言えます。

今までは業務内容の制限などにより、外国人の方の採用が難しかった企業にとっては、優秀な外国人人材を採用できる良い機会であると言えるでしょう。

特定活動46号で従事できる業務

  • 飲食店などでの外国人客への通訳を伴う接客業務
  • 工場でのライン作業や外国人労働者への指示の伝達・指導
  • スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの小売店での外国人客への通訳を兼ねた接客業務
  • ホテルなどの宿泊施設での外国人客への通訳を兼ねた接客業務、翻訳業務を兼ねた多言語のホームページの作成など
  • タクシー会社での外国人客への通訳を兼ねた接客業務や観光案内など
  • 介護施設で外国人労働者や技能実習生への指導、利用者との意志疎通や介護業務など

特定活動46号では、以上の業務に従事することが認められています。

なお、飲食店での皿洗いや清掃のみの業務、小売店での陳列や清掃のみの業務、宿泊施設での清掃のみの業務、タクシー会社での車両整備や清掃のみの業務といった単純労働は認められていません。

特定活動46号で従事できない業務

  • 風俗営業(キャバクラ、スナック、ゲームセンター、パチンコなど)
  • 法律上資格を有する者が行うとされている業務

特定活動46号では、以上の業務に従事することは認められていません。

    なお、風俗営業は接客業務だけではなく事務業務などを始めとした、すべての業務に携わることが認められていません。

    特定活動46号の取得方法・要件

    特定活動46号の取得を認められるためには、大きく分けて以下6つの要件を満たしている必要があります。

    しかし、実際にビザの審査を行われる際は以下の要件のほかにも、大学での出席状況や成績、雇用元の企業の業務内容や過去の法令違反の有無などの説明を求められることも少なくありません。

    1.日本の4年制大学を卒業または大学院の過程を修了していること

    特定活動46号を取得するためには、日本の4年制の大学または大学院を修了し、学位を保持している必要があります。

    そのため、日本語学校、短期大学、専門学校を卒業された方や大学を中退された方、海外の大学を卒業された方などは対象とはなりません。

    2.高い日本語能力を有していることと

    特定活動46号を取得するためには、日本語能力試験JLPT N1またはビジネス日本語能力テストBJTにおいて、480点以上の高い日本語能力を有している必要があります。

    しかし、大学や大学院で日本語を専攻し、卒業された方はこちらの条件は免除されます。

    なお、日本語能力試験JLPTのN1の取得はかなり難しいように感じられるかもしれませんが、日本の大学に通われている方であれば十分に取得を目指せるため、大学在学中に取得されることをおすすめします。

    3.日本語を用いた円滑な意志疎通を要する業務に従事すること

    特定活動46号を取得するためには、雇用主からの指示を理解して、ただ作業を行うといった業務では取得を認められていません。

    外国人客への翻訳業務など、他者とのコミュニケーションを要する業務に就くことを取得の要件とされているのです。

    4.日本語を用いた円滑な意志疎通を要する業務に従事すること

    特定活動46号を取得するためには、日本人の大卒者・院卒者の方と同等額以上の報酬・雇用条件である必要があります。

    5.日本語を用いた円滑な意志疎通を要する業務に従事すること

    特定活動46号を取得するためには、フルタイムでの雇用であることが要件として挙げられます。

    アルバイトやパートタイム、派遣社員として雇用されている方は対象とはなりません。

    6.大学で学んだことを活かせる仕事である

    特定活動46号を取得するためには大学で学んだ知識を活かせる業務であることもしくは、予定されている必要があります。

    例えば、商品の企画や技術開発、営業、管理業務、広報といった専門的な業務がそれに当たります。

    特定活動46号のメリット

    1.アルバイトから正社員として、雇用することが可能

    特定活動46号では今まで認められていなかった、外国人労働者の接客を伴うサービス業務への就労が認められています。

    そのため、アルバイトとして活躍してくれた外国人留学生を正社員としてそのまま雇用することが可能です。

    これにより、新しい人材を雇用する手間、研修・教育における手間を省くだけでなく、退職をされるリスクを抑止することにも繋がります。

    2.日本の文化や習慣を深く理解しており、日本語でのコミュニケーションが可能

     

    外国人留学生の方は4年制の日本の大学を卒業されているため、少なくとも、4年以上は日本で生活をした経験があり、日本の文化や習慣を深く理解している方も多くいらっしゃいます。

    また、日本語能力試験JLPTのN1といった、高い日本語能力を持っていることを特定活動46号の取得の要件とされているため、堪能な語学力を持つ人材の採用が可能性です。

    特定活動46号のデメリット

    1.在留期間が設けられている

    特定活動46号は他の在留資格と同じように、5年、3年、1年、6ヶ月、3ヶ月のいずれかの在留期間が設けられています。

    留学生として取得した留学の在留資格からの在留資格変更時、および、初回の在留期間更新時に決定される在留期間はいずれも1年。

    そのため、4年制の大学を卒業された新卒の方は1年間の在留期間が2回続けて付与されることになります。

    就労先や業務内容にもよりますが、日本の大学または大学院を卒業し、高い日本語能力を持っていると判断された場合は3年、5年の在留期間が認められることが多いようです。

    なお、特定活動46号は更新の回数や通算の滞在期間に制限がなく、日本での在留継続年数が10年以上など、所定の要件を満たしている方は永住権への申請も可能となっています。

     

    2.転職時に在留資格変更許可申請が必要となる

    特定活動46号の場合は転職時に在留資格変更許可申請を行い、許可を得てから就労する必要があります。

    『技術・人文知識・国際業務』などの在留資格の場合は必要ありませんでしたが、特定活動46号の場合はこちらが必要となるため、時間や手間がかかってしまう点がデメリットと言えるでしょう。

     

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